焦らず対処できる脱水

看護

臨床において、脱水は意識しなければならない内容の一つです。

心不全における胸水、臓器疾患からの腹水に対する利尿剤治療や、嘔吐や下痢・食欲不振による経口摂取困難となった症状からの脱水など多岐に渡ります。

脱水のメカニズムや、特徴的な身体所見などを挙げていきます。

体の中での水分の役割

水分は、酸素の次に生命維持のために重要な物質です。

体内では、栄養素や酸素を運ぶ役割をおこなう、老廃物を排泄する、体温調節機能、浸透圧等使用しながら役割維持を行ってます。

脱水となってしまうと、これらの機能が維持できなくなり様々な影響が体のいたるところで出てきてしまいます。

また、体内の水分量は年齢によって異なってきます。

小児は70−80%、成人は60%、高齢者では50%となっています。小児が多いのは体の大きさの比率等でなっているのですが、高齢者ではなぜ少なくなるのでしょうか。

高齢者の脱水

高齢者の水分量が少なくなる理由の一つとしては、筋肉量の減少があります。水分が多く貯蓄されるのは筋肉なので、筋肉量が自然と低下する高齢者は脱水となりやすくなります。

その他脱水となりうる原因としては、

  • 食事が細くなり、摂取量自体も減少するために飲み物以外から水分や塩分の摂取量が減少する。また、飲み込みの機能自体も低下し水分自体の摂取が困難となってしまう
  • 口渇などを感じる感覚機能自体が低下し、飲水機会が減少する
  • 腎臓の機能が低下することにより、尿の濃縮機能が弱まり排尿するまでに多くの水分が必要となる
  • 治療のための常用薬として、下剤や利尿剤を服用していることによる

といったことが挙げられます。

入院中の患者さんでは、点滴をおこなっているために経口からの補水機会が失われがちですが、経口摂取できる嚥下機能等を保つためにも必要なことであるとわかりますね。

脱水の兆候とは

では、実際に脱水になったときにはどのような症状が出てくるでしょうか。

  • 発熱
  • 皮膚の乾燥
  • 尿量減少
  • 口渇
  • 頻脈
  • 血圧低下
  • 意識障害
  • 原疾患の複雑化や重篤化
  • 脳梗塞や心筋梗塞といった大血管における血栓等による閉塞リスク

と重篤化すると様々に影響が出てきます。重篤化する前に症状を見極める必要があります。

主な身体所見としては、腋窩の発汗が消失することや歯肉や口唇間の唾液が欠如しますと脱水の兆候として考えられます。また、ツルゴール反応を図るのも重要となります。

ツルゴール反応は、皮膚をつまみつまんだ皮膚が通常に戻るまでの時間で脱水の有無を評価します。つまんだ皮膚がテント状となったまま戻らないといった様子では、脱水であることが明らかだと判断ができます。

水分だけでは体の機能は保たれません。

水分の重要性を述べてきましたが、脱水だから水を飲みましょう。としては、不十分であることが多いです。脱水では水分と共に塩分(電解質)も共に失われていきます。排泄等で出た量分、水分で補充すると電解質が不足し、主にNa欠乏性脱水となってしまうことが往々にしてあります。

また、心不全等で入院し治療している方では、量を増やすと心不全が増悪するといった側面もあります。

入院中も補液の内容や治療内容によっては脱水となることもありますので、身体症状や検査データに応じて医師と相談していくことが大切となります。

まとめ

高齢者は脱水となりやすく、要素も多いため多岐に渡り観察を行うことが重要となります。脱水の兆候を観察し、治療経過や補液内容・食事量や提供している食事内容や病態に応じて補正していくことが必要となります。

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