焦らず対処できる心電図(心筋梗塞編)

心電図


今回は心筋梗塞の心電図変化について説明をしていきます。心筋梗塞の病態や治療・その後の管理については次回以降に予定しています。


心筋梗塞とは

心筋梗塞は、心臓の表面を走行している3本の血管(冠動脈)が閉塞することで発症する疾患です。1本でも3本でも閉塞・塞栓することで心筋梗塞となります。

診断は心電図、心エコー、血液生化学検査、冠動脈CT等によって診断が付けられていきますが、確定診断としては心臓カテーテル検査(CAG)の結果を通して診断されます。

心筋梗塞発症後の経時的な心電図変化について

心筋梗塞において心電図波形は、特徴的な波形変化があり経時的な経過をたどります。

  • 発症直後
  • 2から6時間経過
  • 2から3日経過
  • 1から4週間以降
  • 1年経過

上記のブロックで大きく別けられます。

心電図変化の特徴

心筋梗塞によってダメージのある心筋は心室側に寄っており、心筋伝導障害が起こる箇所は基本的にはQRST部分となります。

また、12誘導上では心筋障害の発生した部位に関連して心電図変化が見られます。

下壁梗塞;II III aVf(II III aVfでの肢誘導は下から心臓を見ているため、心臓の下側の真菌の伝導障害がわかります。)

前壁誘導;V1−6(1−6での胸部誘導は胸の正面から心臓を見ているため、心臓の前側の心筋の伝導障害がわかります。)

側壁梗塞;I aVL V5−6(I aVL V5−6誘導では左脇から心臓を見ているため、心臓の側面の心筋の伝導障害がわかります。)

後壁梗塞;V1−2(後壁は相関する誘導がないため、ミラー効果としてV1−2での誘導でST低下、R波・T波の増高がみられる際に判断されます。)

発症直後

発症直後の心電図変化は、STの著明な上昇・T波の増高があります。II誘導では、梗塞部位によっては通常波形となっている場合もありますので、12誘導心電図にて確認が必要となります。(II誘導での陽性では下璧梗塞の疑いがあります。)

2から6時間経過

2から6時間の経過では、ST変化・T波増高に併せて異常Q波(Q波が異常に尖る)が出現します。

2から3日経過

2から3日経過では、異常Q波が残りST変化は改善してきます。T波は陰性化(下向きに山ができる;陰性T波)してきます。

1から4週経過

1から4週経過では、異常Q波はそのままに、ST部分が下降しT波が下向きのまま冠状(冠性T波)になります。

1年経過

1年経過すると、初期に見られたST部分やT波の変化は改善し通常の波形とおおよそ同様となります。しかし、異常Q波は残存します(通常変化では、異常Q波は半永久的に残るとされています。)

まとめ

心筋梗塞後の心電図波形は、個人差にもよりますが典型的な経過をたどることが多いです。それぞれ個別的に波形をみると、その他の心筋障害(各種心筋症等)によっても変化がありますので、一連として覚えていくことが必要となります。




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