焦らず対処できる右心不全

看護

右心不全とは

右心不全とは何らかの原因により、右室から肺に静脈血を送り出す力が弱まることで生じます。こうなると、肺に送れなかった血液が右心系に滞り、全身から心臓に戻る静脈血も滞る様になります。その結果、肝腫大や腹水貯留、頸静脈の怒張、手足のむくみ、消化器症状が生じます。このことを右心不全と言います。

右心不全の原因とは

右心不全の原因としては、

  • 肺高血圧症
  • 心筋疾患;不整脈原性右室心筋症、肥大型心筋症、心アミロイドーシスなど
  • 先天性心疾患;心房中隔欠損(ASD)、心室中隔欠損(VSD)、動脈管開存症、術後心など
  • 弁膜症;三尖弁逆流症など

が挙げられます。

右心の機能を評価する項目

右心不全の原因疾患はさらうことができましたが、評価するにはどの様な医療装置を用いて評価項目を見ていけばよいでしょうか。例えば、心エコーを例に挙げていくと

  • 右室充満圧の上昇と左心の拍出量の低下の評価には、エコー上ではIVCの評価や一回拍出量の評価を行うことでわかります。
  • 肺動脈圧・肺血管抵抗を測定して心臓の後負荷を評価していくには、m PAPやPVRの推定より算出していけます。
  • 右室の拡大の程度を把握するためには、心尖部四腔断層像で評価できます。
  • 右室の収縮力を評価するには、TAPSE、FAC、MPI法などで評価ができます。

これらの評価は、看護師ではタイムリーにエコーから読影していくのは難しいですし、そもそもエコーを当てることはありません。エコーにはレポートが上がってきますので、レポートから情報を収集し、アセスメントにつなげていくことが大切となります。

右心評価を行うことで、呼吸苦のアセスメントや鑑別を瞬時に紐付けでき、クリティカルに報告・対応していくことができるのです。

症状の観察方法

特徴的な右心不全の症状を観察するための方法としては

  • 頸静脈怒張;上半身を45度起こして(ベッドアップで)首を左右どちらかに振り固定すると、頸静脈が怒張してくるかどうかの観察ができます。
  • 肝腫大;肝臓のうっ血により起こります。右季肋部痛の症状が出現し、採血データでは肝胆道系の酵素が上昇します。既往症での肝機能不全や胆嚢炎等との鑑別が必要ですが、既往がなくCT等の医療機器からの画像診断でも明らかでない場合、心不全による影響が考えられます。
  • 消化器症状;腹水貯留や体静脈のうっ滞により腸の蠕動運動が低下し、便秘等を引き起こします。そのために食欲不振等の消化器症状につながるため、食事形態や摂取状況・排便状況を観察するようにしましょう。また、脱水とならないようにしながら排便コントロールを行うことも必要となります。
  • 手足のむくみ;むくみの状況からうっ滞の状況も分かりますので、体重測定を定時・定期的に行い評価をしていきます。体重増加がある際には増悪の恐れもありますので、注意が必要です。

まとめ

右心不全はADLや食事等の生命に直結する自覚症状を発症します。看護としては、症状に合わせて対応し、必要に応じて治療方針を確認していくことが大切となるため、検査データや評価方法を理解しアセスメントしていくことが必要となります。

症状としても多岐に渡り、必要に応じた看護が必要となるため何度も読み返してみて理解を深めていきましょう。

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